エンジンオイルの役割って何? どうしてオイル交換が必要なの?
エンジンオイルとは?
エンジンオイルとは、エンジンに使用されている潤滑油です。
車にとって、エンジンはとても重要な要素で、人間に例えれば「心臓」です。
心臓が血液がないと機能しないように、エンジンも血液にあたる「エンジンオイル」がないと機能しないので、いかに良質なエンジンオイルを送ることができるかが車の燃費に大きく関わってくるのです。
エンジンオイルにはどんな役割があるの?
①潤滑
エンジン内部では「ピストン」を始め、「クランクシャフト」や「カムシャフト」等が 1分間に数百~数千回転の高速運動をします。
そのために生じる金属同士の摩耗や焼き付き等を軽減するため、エンジンオイルで潤滑する必要があります。
②密封
「シリンダー」と「ピストン」は完全に密着しているのではなく、僅かな隙間があるので ピストン運動を保持する役割があります。
機密が不十分だと燃焼によって作られたエネルギーが隙間から逃げてしまい、「パワーロス」や「ブローバイガス排出」の原因にも なります。そのため、エンジンオイルによって気密性を保つ必要があります。
③冷却
エンジン各部は燃焼や摩擦によって、とても高温な状態になっています。
エンジンオイルには、これらの高熱を冷却する役割も担っており、エンジン各部を回った後、熱を吸収したオイルは、「オイルパン」に戻り冷却されます。
高速走行を目的としたエンジンの場合、温度はより高温にさらされるため、その場合は空冷式、または水冷式の「オイルクーラー」を取り付ける場合もあります。
④洗浄
エンジンは燃焼や回転運動によって、様々な汚れが発生し、この汚れが溜まると、エンジンの性能を低下させるだけでなく、エンジンの寿命の低下にも影響します。エンジンオイルは、これらの汚れが特定の場所に留まらないように自ら汚れを吸着したり、分散することもできます。
エンジンオイルが黒く汚れていくことは、洗浄作用が正常に行われていることの証ですが、汚れを取り込む量には限界があるために、一定期間使用したオイルは交換が必要です。
⑤防錆
エンジン内は燃焼の熱によって、とても高温な状態になっています。
そのため、外の温度差などにより水分が発生しやすく、それが「錆」の発生原因にもなっています。この錆はエンジン性能を低下させるだけでなく、エンジンの寿命を短くする原因の一つになっており、そのためエンジンオイルはこれらの錆の発生を予防することも重要な役割の一つとなっています。
①オイルにはどんな種類があるの?
1. ガソリンエンジンオイル
2. ディーゼルエンジンオイル
4ストロークの場合は上記2つです。
両者の基本性能は殆ど同じですが、ディーゼルエンジンオイルには酸を中和させるためのアルカリ分が添加剤として多く入っています。
ディーゼルエンジンには燃料に軽油を使用しており、軽油の中には 硫黄が含まれていて、これが燃焼すると「硫黄酸化物」になり、この「酸」がエンジン内部を腐食させる原因となるために、中和する必要があるのです。 したがって「ディーゼルエンジンオイル」をガソリン車に使用しても問題ありませんが、「ガソリンエンジンオイル」をディーゼル車に使用することは添加剤のことからお勧めできません。
現在はガソリン車・ディーゼル車双方に使用できる「ユニバーサルオイル」というものがあり、そちらの使用をお勧めします。
②オイルにはどんな種類があるの?
オイルには製法によっても下記3つに分類されます。
1. 鉱物油
原油から精製されたもので、現在最も一般的に普及しているもの。
分子量などはバラバラで揃っていないため、組成が破壊されやすい。
2. 化学合成油
鉱物油を化学分解してエンジン洗浄と環境を考えた添加剤を化学合成させた良質なオイル。成分や分子量を一定にしたもので、コストは高いが安定した高性能を発揮する。
3. 部分合成油
鉱物油に化学合成油あるいは水素化精製油を20~30%混合したもので、経済性と性能を併せ持っている。
これらのことを総称して「ベースオイル」と呼び、通常この「ベースオイル」に「添加剤」をプラスしたものを「エンジンオイル」と言う。
①オイルにはどんな規格があるの?
オイルにはまた品質によって分かれる規格が存在します。
「ガソリンエンジン用オイル」なら「SA」~「SM」までのグレードに分けられ「ディーゼルエンジン用オイル」なら「CA」~「CJ-4」までのグレードに 分類されています。
②オイルにはどんな規格があるの?
オイルにはSAE規格という、「オイルの粘度」を定めた規格として広く普及しているものがあります。 例えば「5W-30」と表記されているものについて見ていくと頭にある「5W」の数字が小さければ小さいほど、低温時でも柔らかいオイルであることを意味します。つまり、朝一のエンジンの始動性が良いことや、低粘度のため燃費が良いという特徴があります。 また後ろの数字は高温時の粘度で、高ければ高いほど
高温時にエンジンをフル回転していても硬さを保ったオイルであるということです。
スポーツ走行等に向いています。 一般的にこの低温時の数値と高温時の数値の幅が大きいほど、あらゆる走行条件に対応している、と言うことになります。
どうしてオイル交換が必要なの?
エンジンオイルは使用するにつれて「すす・酸化物」「熱」等によって汚れ、劣化します。
また、使用していなくても空気に触れることによって酸化し劣化します。
更に、渋滞やスポーツ走行などで油温が上がり過ぎたり、近所までの買い物や送り迎えで油温が低すぎる状況をつくると、エンジンオイルの性能を劣化させてしまいます。
エンジンオイルに汚れや劣化が発生すると燃費に関わるため、オイルの交換ないしは 補充が必要となってくるのです。
エンジンオイルはいつ交換すべきなの?
オイルの劣化は見た目では非常に判断が難しく、使用状況によっても異なってくるため、一般的な交換時期の目安は「距離」「使用期間」で判断します。
使用するに連れてエンジンオイルの役割の効果も低下し、使用していなくてもエンジンオイルは酸化し、劣化します。したがって、交換時期は早いのに越したことはありません。 交換時期としてよく言われるのは、「3000km~5000km程度」だと思います。
もちろん車種によって違いもあり、「10000~15000km程度」
あるいは「6ヶ月~1年」といった記載をしている車の説明書もあります。 こういった要素を勘案すると、一般的なエンジンオイルの交換時期としては、それぞれの車の取扱説明書に記載されている「推奨される交換時期の距離と使用期間のいずれかの早い方、シビアコンディションの場合はその半分」との認識で問題ありません。
オイル交換でよく言われる「エレメント」「フラッシング」ってどういうこと?
オイルエレメントとは?
オイルエレメントとは、エンジンオイルをろ過するフィルターのことです。
エンジンオイルの汚れを取り除き、オイルを浄化しています。
どうしてオイルエレメント交換が必要なの?
オイルエレメントにはエンジンオイルの汚れ(金属摩耗粉やカスなど)が溜まります。
汚れたままのエレメントは、フィルターの役目を果たすことができず、
エンジンオイルはろ過されずにエンジンを循環することになり、ますます汚れていきます。
オイルエレメントはいつ交換すべきなの?
オイルエレメントの交換はエンジンオイル交換の2回に1回を目安にします。
フラッシングとは?
エンジンオイルは使っているうちに汚れてきますが、オイルに吸収できない汚れは
スラッジなどと呼ばれるヘドロや固形分となってエンジン内部に堆積してきます。
これらの汚れをオイル交換時にすっきり落とすことをフラッシングと言います。
どうしてフラッシングが必要なの?
汚れの量が多くなりすぎると、オイル通路の詰まりや、軸受部の潤滑不良、放熱性の
悪化などを招いて、エンジンノイズの増大やパワーダウン、燃費悪化等の悪影響が出てくるためです。
定期的にオイル交換を実施していればフラッシングを実施する必要はありませんが、
低性能なオイルを入れ続けていたり、劣化したオイルを使い続けると
エンジンを洗浄しなければ性能低下が起こるため、フラッシングが必要になってきます。
フラッシングオイルとは?
フラッシングを実施するために使用されるオイルです。
下記の3種類に分類されます。
①添加タイプ
オイル交換前に150~300ccほどのフラッシングオイルを添加して、しばらく運転した後に排出するという方法で、最もお手軽に使用できることが特徴です。
②交換タイプ
古いオイルを一旦排出し、専用オイルをフル注入し、数分運転した後に排出、その後に通常使用する新しいオイルと交換する方法です。オイル交換が2回必要なのでやや面倒ですが、新油ですすぐため、新しいオイルの汚れが少なくなることが特徴です。
③フラッシングマシン
オイルのドレンボルト(排出口)やオイルフィルターの取り付け部へ配管をつなぎ、外部から洗浄液を循環させるというものです。エンジンを停止したまま実施できるので、洗浄性能を上げた駅を循環でき、外部から汚れを取り除くことができるということが特徴です。